千葉県内には、ナラ枯れ被害や令和元年の台風被害からの再生を目指す里山が多くあります。この再生について、国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で合意された、30by30(2030年までに陸と海の30%以上を保全)に市民目線からの参加として、被害を受けた里山に生物多様性を高めるための苗木を育成、植栽する、「千葉県由来の苗木育成プロジェクト」を立ち上げました。
このプロジェクトは以下の3つのステップで行います。
ステップ1
苗木を育成するため、生物多様性の基礎となる「種の多様性」および「遺伝的多様性」に配慮して種子を採取します。すなわち、多くの樹種の種子を複数の個体から集めます。ここでは、「遺伝的かく乱防止」についても配慮し、種子は千葉県内に限定し、自然共生サイトや様々な里山から採取します。採取した種子はちば里山センターで精選・調製し、冷蔵保存します。
ステップ2
苗木の育成は、種子を地面に撒く方法から近年推奨されている省スペースで育成でき、持ち運びも容易なコンテナ容器を用いる方法、植木鉢を用いる方法など多様な方法を用意し、里山の他に個人宅屋内外でも育成します。したがって、里山団体だけではなく、広く市民が苗木作りに参加できます。ちば里山センターはこの苗木育成について技術指導を行うとともに、苗木育成に参加した人々の意識共有化により「見える化」を図ります。
ステップ3
育成した苗木を里山団体が活動する被害を受けた里山に植栽します。里山団体が育成した余剰苗木、里山活動に関わらない市民の育成した苗木は、ちば里山センターが植栽を希望する里山団体に仲介、提供するほか、環境イベントで苗木の配布を行い、30by30を見据えたこのプロジェクトの広報活動を行います。
県内のどこの里山でどのような樹種の種子が着生しているか見つけ、その種子採取の了解を得ることは容易ではありませんが、当センターは90を超える里山団体が会員であり、協力することで種子採取が実現できます。
●プロジェクトの期間:2024年9月~2030年12月
●期待される成果
- 生物多様性に寄与する面積 100ha(50ケ所の里山等、2ha×50=100ha)
- 参加者 1000人(里山団体会員、学校・保育組織関係者、一般市民)
生物多様性に寄与する面積は千葉県の森林面積のわずか0.07%にすぎませんが、多くの人たちが関わることで、このプロジェクトの波及効果が大いに期待できます。
募金のお願い
このプロジェクトは、人と自然の結びつきを再構築し、多様な市民が30by30を応援する、全国的にも先駆けた取り組みです。そして、里山保全の中間支援組織であるちば里山センター担うべき、重要な活動です。しかしながら、苗木育成の資材費、連絡通信・運搬費(種子及び苗木)、種子の採取、精選、調製、保存の経費、広報活動費、謝礼、交通費などの活動費が生じます。
そこで、ちば里山センターは、当面このプロジェクトを行政、特定の民間助成に頼らずに進めるため、80万円を目標に企業、個人からの寄付金を募ります。
寄付をいただいた企業は、千葉県内の里山の生物多様性に貢献します。ちば里山センターのホームページで公開するほか、このプロジェクトの参加者、参加組織に周知します。
また、寄付された企業、団体、個人が苗木育成、里山への植栽を希望する場合、その支援も行います。
このプロジェクトに賛同される企業、団体、個人は、下記口座に募金願います。
口座番号:3496053
口座名義:特定非営利活動法人ちば里山センター 理事長佐藤孝之
*企業は30,000円以上、団体は3,000円以上からお願いします。
*募金いただけた方はお礼の連絡をさせていただきますので、ちば里山センター(担当:遠藤)までご一報いただけると幸いです。
お問い合わせ
プロジェクトに向けた今までの取組
2022.9~12 | 39樹種の種子を採取(参加者8人、6団体) |
2023.4~2024.3 | 21樹種について、コンテナ容器を用いて、小規模個人宅の庭先を使って苗木育成に取り組む(参加者9人、3団体) |
2023.10 | 環境イベント、「エコメッセ2023inちば」で4月から育成している苗の一部を配布(21樹種) |
2023.9~12 | 44樹種の種子を採取(参加者7人、5団体) |
2024.5~ | 36樹種について、様々な方法で苗木育成に取り組む(参加者31人、13団体) |
2024.5 | ある団体が育てた苗木を別の団体に提供 |
種子採取
種子調製
種子配布
種子播種
苗木育成
イベントでの苗木配布
今までに得られた知見
- 様々な種子の苗木を作るために、採取しまとめて春まで保存することが可能であることが実証できた。したがって、里山活動団体は希望する様々な樹種の種をちば里山センターから提供され、自ら管理する里山の更新用に苗木を育成することが明らかとなった。
- コンテナ容器を使って、自宅(小規模住宅)の庭先を利用した広葉樹苗木の育成が実証できた。したがって、里山活動団体のメンバーがより身近な、しかもわずかなスペースで苗木を育成できることも明らかになった。加えて、コンテナ容器を利用すると、広葉樹でも根系の発達した良い苗木ができることも明らかとなった。