特定非営利活動法人
ちば里山センター

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理事長退任のあいさつ

(更新日:2021年07月15日)

理事長退任の辞
  
 長らく代表を勤めさせていただきましたちば里山センターの理事長職を先の総会を機に退任致しました。後任には前副理事長の里山むつみ隊代表佐藤孝之さんが就任しました。
 思いおこせば、2001年堂本暁子さんが知事になり、環境に視点を当てた施策がスタートしました。里山シンポジウム実行委員会が発足し、里山、生物多様性などが千葉県の施策の基本方針として矢継ぎ早に実行に移されました。2003里山条例が施行され、2004年ちば里山センターが発足しました。同じ時期には、体験活動の推進のために千葉自然学校が設立され、市民活動による2つの組織が千葉県の支援のもとにうぶ声をあげたわけです。
ちば里山センターの初代代表には、故坂本彌が就任、以後2006年より2021年までの15年間、私がその役を担うことになりました。設立時の会員は16団体、事務所は袖ケ浦市の千葉県緑化推進委員会のある緑化施設内に部屋を借り、当初は事務職員も県からの出向者が事務局を担ってくれておりました。
 特定非営利活動法人ちば里山センターは、「千葉県里山の保全・再生・活用の促進に関する条例(里山条例)」の目指すところを具体化し、推し進める事を目的として発足しました。すなわち、里山及び里山活動への理解促進と活動への支援を通して市民が積極的に関与し、農林漁業の振興とその礎となる地域つくりに企業との連携によって貢献しようとするものです。
 千葉県の支援によって運営が継続され、2010年3月にはNPO法人化され、自立した活動組織を標榜して現在に至っています。この生い立ちからも「千葉県里山条例」がその根幹にあります。
森林・里山の持つ多面的な機能は、今やSDGsにおいても、地球環境、持続的な人をはじめとするあらゆる生き物の存続には欠くことのできない機能であると広く認識されるに至っています。全国的にも、ちば里山センターのような組織的に行政とは独立した市民を核とする里山活動団体は、稀有な存在です。市民活動に森林所有者の協力は不可欠ではありますが、荒れて放置された里山が森林の多くを占める千葉県の現状を改善するには、所有をしていない市民や企業などの力がこれまた不可欠です。この観点から、これ迄の里山センターの活動が両者を結ぶ組織という点からは、十分成果を上げているとは言い難いのが実態です。
時代の変化が急速な今、環境、里山、森林を取り巻く国内外の情勢は、厳しさを募らせてきました。地球温暖化、グローバリズムの進展、食糧不足、人口の急増、紛争の頻発・激化、都市への人口集中、パンデミックという世界の中で、日本では、高齢化、資源の輸入だより、定年延長による元気なボランテイアの減少、タイトな労働条件など、里山活動の担い手が減少する方向も見えています。しかし一方では、元気な社会への欲求は、ひとの根源的な生存の条件との認識も深まっているともいえます。
一時代前の考え方、手法では対応できないと言われる中で、まだまだ、中心に据えておかなければならない価値観の一つに「環境」の保全があります。有限な資源の利用とういう観点からは、里山においても「選択と集中」の手法は、選ばざるを得ないことかもしれません。経済の論理からではなくとも、広い意味での価値観を含む合理性を無視することはできません。
令和3年7月                             金親 博榮